バッテリー交換の技術料をもらうには

バッテリー交換の技術料をもらうために

点検や車検で入庫するクルマの多くに、タイヤのひび割れや溝不足とバッテリーの交換時期などの点検整備が必要だと感じる。しかし、その技術的なことをユーザーに納得してもらうために上手く説明できない歯がゆさをいつも感じている。

バッテリと充電・始動性を点検した結果
バッテリ比重(25℃) 1.22
エンジン停止時のバッテリ電圧(25℃) 12.9V
エンジン停止時の放電電流 +2.3誤差内
クランキング時の最低電圧 8.7V
無負荷アイドル時の電圧 14.2V
フルロードで2500rpm時の電圧 14.1V
フルロードで2500rpmでバッテリの+端子とオルタネータB端子間の線間電圧降下 0.2V

今回は車検で入庫したクルマのバッテリと充電・始動性を点検したところ、バッテリの交換が必要なことが分かった。(上図)このクルマのバッテリは新車時に装置されていたもので5年間使用し続けている。

この点検結果で問題となっているのはバッテリ液の比重(標準時1.28)とクランキング時のバッテリ電圧で、液量も少なく、交換時期だと思う。単純に比重が低くて液量が少ないというだけでは、バッテリー交換の目安とは言いがたい。バッテリ性能そのものの点検時点での結果から、バッテリーが弱っているかどうかを判断した上で、交換時期がきている理由をユーザーに説明しなければならないと思う。



オシロスコープを使用してバッテリ性能を点検

充電リップル波形。左:無負荷アイドル 右:フルロード2500rpm

オシロスコープを使用して、バッテリ充電時の充電リップル(充電時の電流)状態を計測したが、問題は見られなかった。(上図)

また、バッテリ交換前後でのクランキング最低電圧とクランキング放電電流を計測してみた。(下図)

バッテリ交換前の波形 左:クランキング時のバッテリ電圧モニター 右:クランキング時の放電電圧モニター

バッテリ交換後の波形 左:クランキング時のバッテリ電圧モニター 右:クランキング時の放電電圧モニター

バッテリ交換前はデジタルメーター読みでは8.7Vのクランキング最低電圧だったが、実際には6Vまで低下していた。そして、12Vまでの復帰時間が1.1秒かかっている。クランキングの放電電流はやく250Aを1.3秒のクランキングで取り出している。これもデジタルメーターの読みよりも大きい。

バッテリ交換後は、クランキング時間0.9秒で最低電圧は約9V。クランキング放電電流は0.9秒で300Aを取り出している。

これでバッテリ交換によりクランキング性能(始動性能)が向上するということが実証できた。短時間で大電流を取り出すことができて、そのときの低下電圧小さくなり、バッテリにかかる負担も少ない。この事実を簡潔にまとめれば、ユーザーにもバッテリ交換の必要性を説明できるし、交換工賃も頂くことができる。

作業や技術に見合った報酬を料金として頂く

自信を持っている商品や技術は無料サービスにしてはいけないと思う。自分の技術や労働としての作業に見合った報酬をもらえるからこそ技術は進歩するし、努力もできるのだから。ユーザーが納得して料金を支払ってくれる商品や技術はまだあると思う。それは、新しいものだけではなく、使い古した技術の中にも沢山埋まっているのではないだろうか。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です