カーエアコンの基礎を見直す2

カーエアコンメンテナンスの基本その2

カーエアコンの性能テスト

自動車電装屋に外注することも出来る。エアコンの性能テストは、比較的手軽に出来るものなので、是非やってみてほしい。

用意する物

  • 温度計(アナログ・デジタルどちらでもいい)
  • 乾湿計
  • マニホールドゲージ(エアコン高圧側、低圧側の数値を計測する)

エアコンのトラブルシューティングは、まず最初に一晩くらい停止状態にしておいた車両にマニホールドゲージを取り付けて、低圧計と高圧計とのバランスを点検しておくべきである。

乾湿計をエアコンの吸い込み口付近に設置し、温度計は吹き出し口付近に設置する。乾湿計で吸い込み口の温度と相対温度が、温度計で吹き出し口の温度が測定できるので、それぞれの温度を記録しておく。ただし、これには前提条件があり、車のドアは全開にして日陰内であること、エンジン回転数は約1500~2500rpmに保ち、ブロワの風量は最大で温度調節は最強に冷やす、そのときの外気温は25℃〜37℃くらいであることの条件下で測定してほしい。

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図1:エアコン性能テスト表・空気線図

図1は、エアコン性能テスト表(空気線図)である。乾湿計において吸い込み口の乾球温度が25℃、湿球温度が19.5℃だとすると、相対湿度は60%となることがわかる。これを踏まえて、吹き出し口温度が8℃とすると、吸い込み口温度(乾湿計の乾球温度)との温度差は下図2の標準性能表において17℃となり、性能テスト表からはエアコンの状態は良好と判断することが出来る。

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図2:エアコン性能テスト表・標準性能表

数値が基準から外れ要点検の場合、マニホールドゲージを取り付けておくと、冷媒の充填具合などの診断を並行して行えるので便利である。

エアコンの冷えに関しては、人によって感じ方が違うだろうから、吹き出し口に手を当てて「効いているように思いますが…」というより、はるかに説得力がある。何でも熱い物が好きな人(風呂とか食べ物とか…)は、エアコンの冷え方にも要求度が高いように思える。エアコン性能テストの結果に納得しないユーザー様に何でも熱い物が好きなのかどうか尋ねると、大抵「イエス」の返事が返ってくるから、面白い。

カーエアコンの身近なメンテナンス

エキスパンションバルブのガス漏れ

R12とかR134aなどの冷媒ガスの種類に応じたガス漏れ感知器(フロンリークテスター)を用いてエアコンの吸い込み口などエアコンの配管周りでリークテストを行う。ここでいうエアコンの吸い込み口の場所はほとんどの場合エアコンを内気循環にした際の車内の助手席下にあるエアコンフィルターが入るケースユニットの近くにある。(エアコンフィルターからたどっていけばわかります。ない場合には、エバボレータが入っているケースの近くです。)

写真(上)はクーリングユニットから取り外したエパボレータである。写真左上と写真右側の高圧側と低圧側の配管が黒ずんでいて、目視点検でも判別可能なほどにガス漏れしている。この写真の四角いユニットを取り外すと写真下になる。

冷媒が漏れているのは同じ部分であるが、エパボレータの冷媒出口(低圧側)がボロボロになっているのがわかる。このユニットに取り付けられるのが、さらに写真下のエキスパンションバルブである。

写真上が実際に取り付けられていたものであるが、よく見ると、やはり錆びている。下の同じ部品は使用可能な新品である。わかりづらいかもしれないが、配管部分を観察してみればわかるはずである。

これらの部品はアルミ製で、エアコンシステム内には通常冷媒とコンプレッサオイルしか含まれていないのにこのような状態になるのは、エアコン配管内に水分やゴミの混入が考えられるからである。なので、これらの部品を交換する際には、レシーバーも同時交換とするのが望ましい。

エパボレータ本体のガス漏れ

ガス漏れ検知器でエパボレータ周辺からの漏れであるとわかっていても、本体からなのか、それともエキスパンションバルブとの接合部なのか、目視点検によっても判断がつかない場合には、不活性ガス(窒素)をエパボレータ内に18kg/cm2の圧力で注入して漏れを点検する。

その状態で、エパボレータをしばらく水につけておくと、泡が出始めた(上の写真)。エパボレータの交換は金額的に負担がかかるが、漏れ箇所が表面であれば、補修で対応できることもある。ただし、補修後に圧力をかけて一晩の間様子を見ることと、修理後の補償を長期間とれないということをユーザーに伝えるのを忘れないようにしなければならない。「そんなもの、交換しない。」と叱られるかもしれないが、このご時世では、致し方ないこともある。

なお、エパボレータやコンデンサなどを取り外した場合には、必ず配管をテーピングするなりして、空気(水分)の混入を防ぐ処理をしておかないといけない。(上の写真)。

フロント周りの板金修理などで、コンデンサやコンプレッサを取り外してそのままの状態にしてあるのを見かけることがあるが、あれはいけない。外注するときなどは、板金屋さんに念を押しておく方がいい。

また、エアコン配管などを分解した際には、その接続部分などについている「Oリング」は新品に取り替えることが望ましい。

パイプの接続部分からガス漏れ

ガス漏れで一時入庫して、エパボレータの低圧側パイプの取り付けOリングからの漏れと判断してOリングを交換したが、しばらくしてエアコンが効かないということで再入庫した。冷媒を入れてリークテストをしたが、反応がない。仕方なくエパボレータを取り外して不活性ガスを注入して調べたが、単体での漏れはない。

原因はOリングそのものではなく、低圧側パイプの接続部分ではないかと予測を付けて、低圧側のパイプを取り付け、圧力をかけて水につけてみると、やはり継手の接続部分から泡が出てきた。走行時の振動などが原因なのか、それとも年数を過ぎた経年劣化による接続ネジ部分同士の相性の問題だろうか?接続元のデリバリパイプ部分とエパボレータ本体は残念ながら一体式になっている。仕方がないので、エパボレータ側のジョイント部を加工して取り付けたところ(下の写真)、問題はないようである。車に組み付けて、その後も追跡調査をしているが、エアコンの効きは良好な様子である。

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加工したエパボレータのジョイント部

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車に組み付けた、加工したエパボレータジョイント部(下側が低圧側)

本来はエパボレータを交換するべきケースかもしれないが、加工で対応できる部分は加工すべきであろう。ホイールアライメントと同じで、部品の交換だけではメンテナンスのダイナミクスさに欠けるし、第一にユーザーの負担が軽減されて信頼が増すだろう。むやみやたらに「切ったり削ったり足したり」しているわけではないのだから。

真空引きは慎重に

エアコンラインの真空引きの最大の目的は、水分の除去にある。水分の混入がトラブルの原因であることは、再三述べてきた。水分混入により、エキスパンションバルブが錆びてしまうケース、また、エキスパンションバルブの小孔部分を凍結させてしまい(この場合、マニホールドゲージは低圧側は負圧、高圧側は5〜6kg/cm2を示すことが多い)、エアコンの効きを悪くするものなど、様々なトラブルを起こしかねない。そのようなことを防ぐためにも、冷媒充填前の最後の大仕事なので慎重にする必要がある。

真空引きをするとなぜ水分が除去されるかということは、大気圧において水は100℃で沸騰して気体に変わる。しかし、気圧が低い山頂では沸点が下がり、ご飯を炊いても圧力鍋でないとおいしく食べることは出来ない。さらに気圧を下げて真空状態にすると、水は常温で沸騰するようになるから、気体になった水を空気と一緒にポンプで抜き取ってしまえるのである。化学の実験などで、フラスコに水を入れて栓をし、ポンプでフラスコ内を真空に近づけていくと、下から火を当てているわけでもないのに水が沸騰し始めた。これらの原理で真空引きにより、配管内の水分が完全に除去される。

エアコンのトラブルの多くは、この「空気の混入」であることは言うまでもないだろう。

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