自動車メーターの基本(スピードメーター)

自動車スピードメーターの作動と構造

speedmater

コンビネーションメーターには、ドライバーが一目で自動車各部の作動状態が確認できるように、スピードメーター、タコメーター、フューエルゲージや水温計、各種インジケータなどが1カ所のパネル内に配置されていて、その中でもアナログコンビネーションメーターは、一般的に、指針で数値や量を機械的に示す構造になっている。

目次

電気式スピードメーター

電気式スピードメーターは、ケーブルを用いないケーブルレス式スピードメーターで、車速を検出する車速センサと交差コイル式スピードメーターおよびパルスモーター式のオドメーター及びトリップメーターで構成されており、車速センサをトランスミッションなどに取り付け、そこから得られる電気信号でスピードメーターを動作させるようになっている。

図1:電気式スピードメーター

図1:電気式スピードメーター

図1のメータ部には、指針を動かす交差コイル式スピードメーターと、交差コイルに電流を流す電子回路及び走行距離を積算するオドメーターやトリップメーターなどが設けられている。

車速センサ

電気式スピードメーターの車速センサは、磁気誘導素子(MRE:Magnetic Resistance Element)を用いた方式のものが多い。

図2:磁気抵抗素子(MRE)式スピードメーターセンサ

図2:磁気抵抗素子(MRE)式スピードメーターセンサ

このセンサは、図2のように磁気抵抗素子を内蔵したハイブリッドICと、トランスミッションのアウトプットシャフトのドライブギヤ(終速度検出)により駆動されるマグネットリングにより構成されている。

図3:磁気抵抗素子(MRE)の性質

図3:磁気抵抗素子(MRE)の性質

磁気抵抗素子(MRE)は、図3のように電流の方向に対して磁力線が変化することによって、抵抗の大きさが変化する性質を持っている。

図4:車速センサの構造

図4:車速センサの構造

また、MREは図4のように多極マグネットリングの周辺に配置されているため、リングの回転速度に応じて磁力線の方向が変化してパルス信号が発生する。

この信号を増幅器内のコンパレータ及びトランジスタにより、デジタル信号に変換して図4の(2)の②端子からスピードメーターの電子回路へ送っている。

なお、車速センサの出力は、マグネットリング1回転で4パルス周期の信号である。

速度表示の仕組み

交差コイル式スピードメーターでは、車速センサからの信号が、図5のように電子回路に入力されると、このICが信号のパルスをカウントし、車速に応じて交差コイルへ流す電流の大きさと方向を変化させ、それによって形成される合成磁界の方向へ指針(マグネット)を振らせて速度を表示させている。

図5:交差コイル式スピードメーターの構成

図5:交差コイル式スピードメーターの構成

交差コイル式メーターの作動原理

図6:交差コイル式メータ

図6:交差コイル式メータ

交差コイル式メーターは、マグネット式回転子の外側に、図6のように2つのコイルが90度オフセットして巻かれている。

これにより電子回路からは、コイルL1とL2に、コイルに流れる電流の大きさと方向が車速に連動してsin波形のように変化する。実際には図7の(1)のような波形の位相を90度オフセットさせた電流と車速の関係グラフとなる。

図7(1):コイルに流れる電流と車速の関係

図7(1):コイルに流れる電流と車速の関係

交差コイル式メーターでは、それぞれのコイルによってできる磁界の方向と大きさを変化させ、指針が図7(2)A~Dのように1つの磁界又は双方向の磁界の合成磁界の方向。すなわち、力が釣り合うベクトルの方向を指し示すようになっている。

図7(2):各速度における指針の向き

図7(2):各速度における指針の向き

走行距離の積算

図8:パルスモーター駆動回路

図8:パルスモーター駆動回路

走行距離は、図8のような駆動回路によって、車速センサからの信号を、回転するパルスモーターとオドメーターによって積算する。

図9:パルスモーター式積算距離計

図9:パルスモーター式積算距離計

パルスモーターは、図9のように上下2層のコイル、固定子(電磁石)及び回転子(マグネット)から構成されており、15度ずつ間欠的に回転するモーターで、車速センサからパルス信号が入力されると、モータードライブICから各コイルに通電し、パルス数に応じて回転することで、オドメーターとトリップメーターを駆動している。

引用元・参考文献等

このサイトは、以下の参考文献より引用・参考にさせていただきました。

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