自動車冷却装置のメンテナンスその1

自動車冷却装置のメンテナンス・ラジエーター周り

自動車のエンジンの温度を適切に保つための「冷却装置」に不調が発生すると、オーバーヒート等のトラブルが発生し、走行不能になることはもちろんエンジンが大きなダメージを受け、多額の修理費用がかかることが多いです。この自動車の「冷却装置」を定期的にメンテナンスしていくことで、エンジンに起こりうるトラブルを未然に防ぐことができます。

ラジエーター

自動車のエンジンは燃焼した際に発生する熱エネルギーを運動エネルギーに変換して、走行するための動力としています。この熱エネルギーによって発生する熱はエンジン自体の温度を上昇させて加熱状態を作り出してそのままではオーバーヒートとなります。オーバーヒートとなると、高熱によりエンジンを構成するパーツが変形したり、エンジンオイルの潤滑機能が低下してパーツ同士が熱により焼き付いたり、高熱により勝手に燃料が自然発火して点火プラグが着火する前に燃焼してしまうノッキングなどの症状により、エンジンが正常に機能しなくなります。

これらの症状を防ぐために、エンジンには「ラジエータ」と呼ばれる冷却装置が備えられています。エンジン内を流れるラジエーター液(LLC・クーラント)はエンジン内を循環してエンジンの熱を吸収して熱くなります。この熱くなったラジエータ液はラジエータにより冷却されて、エンジン内のポンプ(ウォータポンプ)によりエンジン内を再び循環します。ラジエーターは走行による走行風と備え付けられた冷却ファンによりラジエータ液を冷却します。

冷却層との循環経路はラジエータ液で常に満たされていて、さらに別にあるラジエーターリザーバタンクに予備のラジエータ液が蓄えられています。エンジン内のラジエータ液が適量より不足すると、冷却能力が低下してオーバーヒートが起こります。ラジエータ液はこのリザーバタンク内から熱により少しずつ蒸発して全体量が減っていくので、定期的なメンテナンスとしては、リザーバタンクに示されているゲージをから液量を点検して、必要に応じてラジエータ液を補充することです。これを怠ってラジエータ液が空になり不足すると、オーバーヒートの原因になりかねませんので注意が必要です。

リザーバータンクとラジエーターキャップ

通常ラジエータ液に使用されている「水」は、温度が100度を超えると沸騰して気体になるので、冷却機能が無くなります。これを防ぐため、冷却装置のラジエータ液の循環経路をラジエーターキャップで密閉することで、ラジエータ液の温度上昇による膨張で循環経路の内部の圧力を高めて、沸騰温度を100度以上に高めています。そしてこの沸騰温度をある一定の温度にまで安定させて、それ以上温度を上げることなく。かつ、圧力の異常な上昇による冷却装置の破損を避けるために、ラジエータ液の温度と圧力が一定以上になると余分なラジエータ液をリザーバタンクに送って、圧力の上昇を抑えています。また逆に、エンジンが停止して冷却水の温度と圧力が下がると、リザーバタンクからラジエータ液が吸い戻され、エンジンの循環経路内のレジエーター液の状態を一定に保っています。以上この機能が、リザーバタンクとラジエータキャップの役割です。

国産車では一般にラジエータ本体にラジエータキャップとそこからリザーバタンクが備え付けられていたが、近年ではこの形式のラジエータキャップがない車も存在している。しかし、冷却水に圧力を与える装置は一般に冷却装置のどこかに配置されていて、その位置は車によって違うものもあれば、複数存在するものもあります。エンジンの冷却効率や、メンテナンスのしやすさなどを考慮して、ラジエータ本体からパイプやホースで接続されて、適切な位置にラジエータキャップを配置している場合もあります。

ラジエータキャップが存在しない冷却装置。

ラジエータキャップが存在しない冷却装置では、ラジエータ液の液量点検とラジエータ液の交換はこのリザーバタンクから行う事ができます。新しいラジエータ液はリザーバタンクから注入することになっています。

ラジエータ液とLLC(ロング・ライフ・クーラント)

ラジエータ液はただの「水」でも問題なく機能するのですが、水は0℃で凍結して、冷却系統を破壊します。なので、この凍結温度を低下させて凍結を予防するためにLLC(ロング・ライフ・クーラント)という不凍液を混入させるのが一般的です。これまでのLLCは長期間使用していると、水あかが発生したり、冷却経路内のパーツの錆の原因となっていたのですが、近年では長寿命タイプで性能の良いのスーパーLLCが主流となっています。これはメーカーにもよりますが、だいたい新車時から7年くらい、走行距離にして10万キロくらいの目安が交換時期になっています。

冷却水漏れなどのトラブルによりこのスーパークーラントを交換する場合には、原則として同じメーカーのスーパーLLCに交換することが推奨されています。旧年式の古い車ではどのLLCでも構わないのですが、だいたい通常の水道水(硬水)にLLCを60%位の割合で希釈して交換するのが一般的なのですが、現在ではそのままでも交換できる濃度のLLCも市販されているようです。

LLCの濃度と凍結温度

ラジエータ液の凍結温度はLLCを混入する濃度で変化します。製品により多少の変化はありますが、LLCの濃度は60%以上にしてもあまりそれ以上の効果は上がりません。

通常は新車時のLLC濃度はだいたい30%で、寒冷地仕様で50%くらいです。下図から分かるように、少なくとも日本ではLLCの濃度が60%位であれば、何処でも走行可能であることが分かります。最低でも30%〜40%くらいであれば濃度として問題は無いのではないでしょうか。

  • LLC濃度と凍結温度の関係




ラジエータ液量の点検

ラジエータ液量の点検は、リザーバタンクで行います。リザーバタンクの側面には、「FULLーLOW」や「MAX−MIN」など液量の上限と下限を表す目盛りが付いています。この2本の目盛り内に液面があれば適量で、不足していたら補充します。

液量の点検はエンジンが冷えているとき行います。なぜかというと、エンジン温度が高いときには冷却水は膨張してリサーバタンクの液量は通常よりも高い位置をしめし、逆に温度が低いときには液量は減っていき一定の目盛りに落ち着くからです。

エンジン冷間時に液量が適切でない場合には補充が必要で、温間時にリザーバタンクからあふれ出るとか、逆に全くからである場合には、冷却系統の異常が疑われるので点検が必要です。ラジエータ液は蒸発するか、液漏れで無い限りその量が極端に変化することはないので、定期的な点検が必要になります。また、ラジエータキャップを外すことにより、ラジエータ本体の液量も点検することができます。ただし、この点検作業もエンジンが冷えているときに行う必要があります。エンジンの温度が高いと、ラジエータキャップを開けた瞬間に、冷却系統にかかっている圧力が抜けてラジエータ液が噴出するからです。

ラジエータキャップがない車両の場合

ラジエータキャップがない冷却装置の場合、そのリザーバタンクにはホースが導かれていますが、ラジエータ本体とつながっているとはかぎりません。ホースは圧力差を利用して、高い位置と低い位置に2本備え付けられていることが多いです。

リザーバタンクには液量を確認するための目盛りが備えられていて、この上限と下限の目盛り内に液面があれば適量です。目盛りから極端に外れていない場合はその後様子を見るつもりで液量を調整し注意しておきましょう。

ラジエータキャップの開け方

ラジエータキャップは2段階のロック機構が採用されていて、キャップを押さえつけながら反時計回りに回転させて、1段目の引っかかりの地点でロックが解除(圧力が抜ける)さらに反時計方向に回転させこれ以上回らないところまで回転させたら、2段目のロックが解除され上部に引き上げて取り外すことができる。

ラジエータキャップ本体の点検

ラジエータキャップには冷却装置内の圧力を一定に保つために、プレッシャーバルブ(圧力バルブ)とバキュームバルブ(負圧バルブ)の2つのバルブが備えられています。これらのバルブがラジエータ液の温度に応じて開閉することで、リザーバタンクにラジエータ液を送ったり吸い戻したりしています。また圧力を一定に保つために機密性も高くつくられています。バルブのゴムの部分の劣化などにより、これらの機能が低下すると、オーバーヒートの原因となったりします。

ラジエータキャップは、内側のゴムの部分が密着することで、機密性を発揮している。そのため、そのゴムの部分が経年劣化等により弾力が無くなり劣化すると、機密性が低下するのでゴムの状態を点検する必要がある。ラジエータキャップの機能を点検するための測定具が必要になりますが、キャップのバルブ部分のスプリングの弾力を点検するだけでも、ある程度状態を点検することができます。状態が悪いようならばそのまま交換します。

冷却系統のホース類の点検

冷却装置では、各部に大小様々な形のホースが使われていますが、これもゴム製なので、劣化により弾力が無くなりひび割れやすくなります。その場合にはラジエータ液の温度が上昇して圧力が上昇すると、劣化した部分から漏れ出したり、ホースごと破裂したりするので注意が必要です。

ラジエーター液のホースの中でもっとも痛みやすいのは、ラジエーターに直結しているアッパーホースです。エンジンで高温になったラジエータ液に大きな圧力がかかるためです。そのほかにもエアコンの暖房に利用されるコアにつながるヒータホースや、リザーバタンクとラジエータ本体、キャップ部分に接続されているオーバーフローホースなども重要なホースの点検に注意が注がれる箇所です。

ラジエータ液が通る冷却装置は、完全に密閉されることが前提なので、原則としてどんなホースに水漏れが認められた場合には直ちに修理を行います。ほんの少しの見逃しもオーバーヒートの原因になります。ホース類の点検は、目視による点検に加えて、エンジン停止時にラジエーターキャップテスターで、ラジエータキャップのはめ込み口から規定の圧力を掛けてエンジンの冷却系統に圧力がかかっている状態と同じ状態を擬似的につくってラジエータ液の漏れがないかどうか探して点検します。ホースから水漏れがある場合は、そのホースが劣化しているか、ホースを接続しているホースバンドが傷んでいるかきっちりとはまっていないかのどちらかの場合がほとんどです。




ラジエーターコアの点検

ラジエーターにはその上下にラジエーターホースが接続する細長いタンクがあり、この両タンクをラジエーターコアがつないでいる。ラジエーターコアは細い多数のパイプで構成され、さらにその間をフィンと呼ばれる薄い金属片がパイプの表面に取り付けられている。このフィンの表面積を大きくすることで、走行風やラジエーターファンからの送風を当たりやすくし、ラジエーター液の冷却効率を高めています。

このラジエーターコアの表面が汚れてくると、冷却効率が悪くなるので、これも定期点検を行う必要があります。フィンに損傷している部分がないか、ホコリやゴミなどが詰まっていないか、ラジエータ液の液漏れの跡がないかどうか、目視によって点検します。通常ラジエーターはコンデンサーと呼ばれるラジエーターと同じ構造のエアコンの熱を逃がすためのパーツと重なり合っていることが多いので、両者を混同しないようし注意して点検していきます。フロントのグリルから点検するとコンデンサーとラジエーターが重なっている部分が多いので、その隙間から点検するのはすこし難しいかもしれません。コンデンサーもまたラジエーターと同様の点検項目をチェックしていきます。




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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