冷間時始動困難なトラック

平成7年式:マツダ・タイタン 型式:P-WGLAT エンジン型式:SL (24V仕様)

冷間時エンジンが始動しにくい

エンジン始動の際に、グロー・インジケータ・ランプは正常点灯しているが、冷間時エンジンが始動しにくいというトラブルを受けた。また、始動はしても白煙が多く出るということだった。

整備工場で実施した作業を確認する

  • 圧縮は全気筒共に約28kg/cm2で正常
  • エアクリーナー・エレメント交換
  • 燃料フィルタ交換
  • 噴射時期は正常

以上の結果から冷間時エンジンが始動しにくいというトラブルの原因は、予熱システムであることが疑われる。この車両はグロー・インジケータ・ランプはあるが、グロープラグは存在しない。代わりに始動時の予熱システムがあるので、それを点検していくことにした。



エア・ヒーター・システム

この車両はエア・ヒーター・システムだったので、冷間時に測定しやすいエア・ヒーターの①端子、②端子の電圧を測定した(上回路図右下)

  • エンジン・スイッチをONにすると、①端子、②端子共にバッテリ電圧が24Vかかっている。…正常または①端子から②端子への電流の流れ込みである可能性がある。
  • グロー・インジケータ・ランプ消灯後、①端子、②端子共に電圧がかかっていない。…異常
  • エンジン・スイッチをSTにしても、①端子、②端子共に電圧がかっていない。…異常

以上の測定結果より、エア・ヒーター・システム内部が正常に作動しているかどうか、リレーの点検を中心に行う。

エア・ヒーター・システムが正常に作動している場合

水温20℃以下で通常始動のときのシステムの作動状態

図1

図2

上図1は、エア・ヒーター温度とリレーのON/OFFと通電時間関係を示したグラフで、図2は回路図である。

  1. エンジンスイッチをONにすると、インジケータ・タイマ(T1)及びブリー・ヒートタイマ(T1’)が起動し、T1はインジケータランプを点灯させ、T1’はエア・ヒーター・リレー1,2に通電をこないヒーターを加熱させる。
  2. インジケータ・タイマに通電が終わると、インジケータランプが消灯し、始動開始を運転者に通知する。このとき5秒タイマが作動し、エア・ヒーター・リレー2への通電を続ける。
  3. エンジン・スイッチをSTにするとエア・ヒーター・リレー2に通電があり、エアヒーターを加熱する。
  4. エンジンが始動し、エンジン・スイッチをONに戻すとアフタ・ヒート・タイマ(T2)が作動し、T2時間エア・ヒーター・リレー2への通電を続ける。
  5. T2時間後、エア・ヒーター・リレー2がOFFになり、エア・ヒーターへの通電を停止する。

以上の資料から推測するに、インジケータランプが正常作動していることからリレー1は正常に作動してエアヒーターを加熱しているが、白煙が出るという原因がたとえ始動不良を起こしてエンジンがかかったとしても、圧縮空気が低温で燃焼不良となっているからということを考えると、エアヒーターが十分に加熱しきれていない。回路図のリレー配置から加熱し切れていない原因はリレー1が正常ならば、リレー2の作動不良でエアヒーターに通電していないということが考えられる。なので、エア・ヒーター・リレー2の単体点検をおこなった。

エア・ヒーター・リレーの単体点検





単体点検
  1. バッテリのマイナス端子を取り外す。
  2. エア・ヒーター・リレーを取り外す。
  3. リレーのC-D端子(緑色:白-黒)間の導通を点検する
  4. リレーのC-D端子間にバッテリ電圧をかけたときA-B端子間(エアヒータ本体の端子:上図参照)に導通があることを確認する。
  5. 不具合にある場合は、リレーASSYで交換する。

リレーの点検結果は正常であったので、エア・ヒーター・コントロール・ユニットを点検するとL端子の 出力電圧がなかったため、これがリレー2に通電していない原因であることが判明したので、ユニットを交換すると正常に動作するようになった。

今回のトラブルは、始動直後に白煙が出るという症状から、エアヒーターの加熱が十分でなく、その原因はリレーの通電で、詳細に点検していった結果、そのリレーに通電しているコントロール・ユニットの不良ということであった。十分な資料の入手と、手順を追った正確な点検から原因を追求していくという姿勢が大切であり、そのことが迅速で正確な修理作業の流れを約束するものであると理解させられるトラブルであった。

エア・ヒーター点検

  1. エア・ヒーターへの配線を切り離す。
  2. サーキット・テスタを使用して、各端子間の抵抗値を測定する。(抵抗値は上図参照)
  3. エア・ヒーターを取り外し、ススやホコリなどの付着を目視点検する。
  4. ススが付着している場合には、水洗いし、十分に乾燥させた後に取り付ける。

エア・ヒーター・コントロール・ユニットの点検

  1. コントロール・ユニットを取り外す。
  2. サーキット・テスタを使用して、ユニットの各端子電圧を点検する。

  • エンジン冷却水温度が20度以上の場合には、水温センサのコネクタを切り離し、車両ハーネス側に約600Ωの抵抗を接続し、測定時の疑似信号として使う。
  • 測定条件内の時間は、エンジン冷却水温度が約20℃の時を基準として記載している。

参考資料






 

 

 

 

 

 

 

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