ソアラ・ヒーターコア

平成3年式:トヨタ・ソアラ 型式:E-jzz30 エンジン型式:1J-ZEUインタークーラー・ツインターボエンジン 4AT 走行距離:89,000km

 

 

ヒーターから煙が?

長い正月休み明け、ユーザーから「クルマのヒーターを掛けたら煙が上がってきたので見て欲しい」との連絡があった。

「ヒーターから煙?」よくよく考えてみると、恐らくヒーターコアから水漏れを起こしているのだろうと直感で思い。クルマを引き取りに行った。

クルマの状態を確認すると、サブタンクは空っぽであったが、ラジエータには冷却水が残っており、最悪のオーバーヒートは起こっていないようだ。その場で水を補充して帰る途中、煙というよりも水蒸気が出てきた。

ヒーターコアから水漏れ

工場にて助手席のカーペットを触ると濡れており、リフトアップして下から見るとアンダーフロアにまでしみ出している。原因はヒーターコアからの冷却水漏れであると確定したが、作業はとなると少し考えてしまった。

単純にヒーターコアの交換なのであるが、一般的にどのクルマも一緒なのだがダッシュボードの一番奥に付いているため、ステアリングホイールはもちろんメーター類やセンターコンソールまで外し、インスツルメントパネルまで抜き出さないと交換できない。

時間がかかる作業になるため、忙しい時であればディーラーへの外注で済ましてしまうのであるが、休み明けで仕事もすいていたので、意を決して作業に取りかかった。それにこういった仕事は集中して一気にしてしまわないと、途中で忘れてしまったりしてミスを起こすことになりかねない。




ヒーターコアまでたどり着くには?

作業時間表を見てみると,とても指定の時間内ではできない。そのため、こういった手間のかかる仕事はプラモデルを組むような気持ちで取りかかるようにしている。

もちろん遊びではなく、ゆっくりと時間をかけて確実に仕上げることに専念するということである。

ディーラーにて、インパネ類の外し方や注意事項を教えてもらう。親しいフロントマンは整備解説書の一部をコピーしてくれた。

隠れたビスはもちろん、差し込みのピンの位置まで詳細に書かれており、これが本当に助かった。このクルマはビスやボルトは少なく、ほとんどがピンで差し込まれている。そのため組み付けるのは簡単だが、外すとなると大変であるし、年数がたったクルマの場合は正しくこじってもピンが壊れてしまう可能性が高い。

ディーラーよりもらった10数ページにも及ぶコピーをよく見てみると、何とヒーターとブロアモーター、エアコンユニットが一体になって取り付けられている。

 

  • ヒーターコアとエアコンユニット、ブロアが一体型になっている

ということはエアコンユニットのガス漏れとか、ブロアモーターの不良が起これば再度全ての部品を外さないと交換できないようになっているのだ。

おまけにエアコンパイプの取り外しはABSのアクチュエーターまで外さないとできない。無理矢理はずそうとすると破損してしまう。

ヒーターホースを外すにしても、スプリング式のバンドは、とても硬く取り付けられている好きなが極端に狭く、加工したプライヤでなんとか外したが、手が入らないのでホースをそのまま抜くのはムリと判断してカッターで切り取り、ホースを新品にすることにした。

 

  • ヒーターホース部分、狭くて手が入らない

内装にしても把持した順番に部品を置いていき、ビス、ナット類は各部分ごとに小さな箱に小分けして入れておいた。こうすれば、後で悩む時間も少なくて済むし、ミスも犯しにくくなる。マニュアルには、スピードメータやエアコン関係のワイヤーの取り外し方の資料が記載されていたので助かった。固いワイヤー類はムリにこじると、後で動きが硬くなり、そのまま使っているとレバーやピン類に負担がかかり、外れたり、最悪の場合折れたりする場合がある。

マニュアルではインパネ配線に付けたまま、車体部のカプラを外すように書いてあったのだが、隙間も狭く10カ所以上はあるであろうカプラの取り外しは大変であると考え、インパネに付いているタッピングスクリュを6個外し車内に配線を残したままインパネのみを取り出した。こうすれば、後々、カプラの入れ忘れとか接触不良の心配はなくなる。但し、配線の取り回しや外した配線を傷つけないように注意しなければならない。

こういう仕事でミスを少なくするためには、必ずしもマニュアル通りに作業するのではなく、臨機応変にその場にあった確実な方法を考えて作業することは、大事なことだと思う。

全てを取り外して、再度組み付け作業は終了した。

 

  • ヒーターコアはここまで外さないと交換できない




トラブルシュートといったレベルではなく、単にねじを緩め、ピンを外し、もう一度組み付けるだけの作業である。慎重にすれば新人にも作業ができるが、ミスを起こさないようにするためには、やはり注意深い思考能力と精神力が必要である。

作業の大変さを振り返る

作業を振り返ってみて、困ったのがフロアマットが柔らかいプラスチックで形成されているため、まっすぐにめくれてこないのである。そのためリヤへいっているヒーターダクトを抜くのは大変であったし、逆に入れるのももっと大変だった。

それとアシストグリップの外し方がわからず、マニュアルでは嵌合部をこじるとしか書かれていなくて、こじっているとプラスチックのピンの一部が折れてしまった。折れたピンをよく見てみると、プラスねじ止めされている。もう一方は慎重に見ると、上側の爪を押すようにして一度上は引き抜き、そして、そのまま下へ抜くのが正解だった。慎重にまっすぐ抜けないとサイドカウルを傷つけかねないので要注意である。

はじめて行った作業で、部品待ち、エアコンガスチャージ、ブレーキオイルのエア抜き、冷却水のエア抜き時間を入れて、丸4日かかってしまった。

一度してしまえば、今度はもっと楽に早くできるし、嫌だなと思う先入観も起きないが、それにしてもメーカー側には、もう少し配慮ある設計をして頂きたいなと思ってしまった。

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