タイヤとホイール

ホイールとタイヤ

ホイールは、路面と接しているタイヤを保持し、駆動力、制動力及びステアリング機能をタイヤに伝え、自動車を円滑に走行させる働きをする。
タイヤは、ホイールと共に自動車の荷重を支えながら、路面からの衝撃を吸収し、駆動力及び制動力を路面に伝え、自動車を円滑に走行させる働きをする。
ホイール及びタイヤは、自動車のサスペンション、ブレーキ、ステアリングなどの各装置の機能に影響するところが大きい。

目次

ホイールの構造と機能

ホイールは、自動車の荷重、路面からの衝撃、旋回時の遠心力などに十分耐えうるための強度、タイヤやブレーキの熱を放散させるための放熱性、駆動力や制動力及びサスペンションの追従性を向上させるための軽量化、ホイールの振動を起こさないための真円度などが求められる。

強度

ホイールには様々な力が作用しているが、この力を「応力」といい、自動車の停止時に受けている応力、走行時の応力及びホイールそのものに残っている応力などがある。

応力とは:https://katuhito.site/stress_strain/

自動車の停止時に受ける応力は、自動車の荷重、ハブ・ボルトとナットで締め付けられる応力、タイヤの空気圧とその空気圧によるタイヤのビード部の反発力などからなる応力である。

つまり、ホイールは、様々な応力に耐えるだけの強度が必要になってくるのだ。

放熱性

ホイールは、タイヤとブレーキから発生した熱を放散させなければならないため、形状を工夫して放熱性を高めている。
アルミホイールは、スチールホイールと比較して、ほぼ確実に放熱性に優れている。放熱性が良いと、ブレーキによるフェード現象やベーパーロック現象が発生する可能性は低くなる。
放熱性による問題が発生するのは、長い下り坂などで、ブレーキを多用した場合などである。このような状況下では、ブレーキディスクやブレーキドラムに直接接して、通気性の良いアルミホイールの熱伝導性と放熱性が機能を発揮する。

軽量化

ホイールの質量は、サスペンションのアーム類、アクスルやタイヤとともに、ばね下荷重に含まれる。このため、ばね下荷重が小さいほどサスペンションの動きに対する追従性が良くなり、発生した振動を素早く吸収させることで、乗り心地や運動性も向上する。
一般的に、これらの性能においては、ばね下荷重の1kgの軽量化は、ばね上荷重の20kgの軽量化に匹敵するといわれている。

材質による特性

ホイールの材料は、一般に、鉄と軽合金が使用されていて、軽合金には、アルミニウム合金とマグネシウム合金とがある。
鋼板を使用したホイールをスチール製ホイール、アルミニウム合金製をアルミホイール、マグネシウム合金製をマグネシウムホイールという。
金属比重は、マグネシウムが1.7、アルミニウムは2.7、スチールは7.9で、マグネシウムが最も軽い。(比重の基準は水で、4℃で約1.0g/cm3)
金属強度は、材質そのもので見た場合、スチール、アルミニウム、マグネシウムの順番で、軽合金よりもスチールの方が固くて強い。
アルミニウムは、軽量で、熱伝導性、鋳造性、機械加工性などに優れた金属であり、軽量化や高精度かなどに有利であるが、耐食性については、スチールに比べて低いので、塗装を施して補っている。

軽合金ホイールの種類と特徴
  • アルミニウム合金製ホイール

アルミホイールは、ばね下荷重の軽量化に役立ち、乗用車だけでなく、大型車の一部にもアルミホイールが採用されている。

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図1:リム幅とコーナリングフォース

図1は、リム幅に対するコーナリングフォースを示したものであるが、質量換算すると、アルミホイールはスチールホイールに比べて比較的リム幅を大きく取ることができ、リム幅の増加分がコーナリングフォースの増大に繋がっている。

コーナリングフォース:=>リンク

  • マグネシウム合金製ホイール

マグネシウムホイールは、アルミホイールに比べて軽量、かつ、寸法安定性、耐衝撃性に優れているため、軽量、高強度を要する用途に限定して用いられているが、耐食性や自由設計度が劣る。

マグネシウムホイール

アルミニウム合金製ホイールの構造
  • 1ピース構造

図2:1ピース構造

図2は、ホイールのリム部とディスク部を一体鋳造したもので、精密な寸法仕上げができるが実感重量が増す。

  • 2ピース構造

図3:2ピース構造

図3は、絞りまたはプレス加工したリム部に鋳造または鍛造したディスク部を溶接またはボルトを締め付けて一体にしたもので。軽量化やディスク部のデザイン自由度に優れている。

  • 3ピース構造

図4:3ピース構造

図4は絞りまたはプレス加工されたリム部を2つに分け(表側リムと裏側リム)、それを鋳造または鍛造したディスクに溶接し、さらにボルトを締め付けて強化したもので、ディスク部のデザイン性や汎用性に優れている

タイヤの構造と機能

タイヤに荷重が加わると、タイヤはそのときの状態によって様々な特性を示すが、その主なものについて解説する。
タイヤのたわみ
タイヤに荷重を加えていくと、タイヤは「たわみ」を生じる。この「たわみ」には。縦たわみ、幅たわみ、横たわみの3種類があり、タイヤの働きに欠かせない要素である。

図5-1:縦たわみ

図5-1は、縦たわみを示したもので、縦に荷重を加えたときに発生する縦方向のたわみで、適当な設置面積を与え、路面からの衝撃を和らげるが、限度を超すと、タイヤの疲労や摩耗を招く。

図5-2:幅たわみ

図5-2は、幅たわみを示したもので、縦に荷重を与えたときに縦たわみと同時に起こる。この場合は左右の幅方向に生じるたわみである。

図5-3:横たわみ

図5-3は、横たわみを示したもので、縦荷重を加えた上に、さらに横荷重を加えたときに生じる横方向のたわみである。
また、JIS規格では、タイヤの空気圧に見合った荷重とその上限を規定していると共に、荷重を加えた場合、静止状態の時と走行状態の時のタイヤ半径を次のように定義している。
  • 静荷重半径
タイヤを適用リムに装着し、規定の空気圧を充填。静止した状態で平板に対し垂直に置き、規定の荷重を加えたときのタイヤの軸中心から接地面までの最短距離をいう。
  • 動荷重半径
適用リムを用いてタイヤを自動車に装着し、規定の空気圧及び荷重を掛け、定速度(60km/h)で走行させたときのタイヤ1回転あたりの走行距離を2πで除した値をいう。
  • JISに示されている動荷重半径
乗用車用のタイヤの場合には、設計常用荷重(注参照)に対する空気圧を充填し。設計常用荷重を掛けて、平坦で直線な乾燥路面を60km/hの定速度で走行させた場合の半径の値を参考にしている。
また、乗用車用タイヤ以外の場合には、最高空気圧で最大荷重(単輪及び複輪の区別があるときは単輪)を掛け、60km/hの定速度で走行させたときの半径値を参考にしている。
自動車のスピードメータは、この動荷重半径とタイヤの回転速度を基準にして、速度と走行距離を表示している。
なお、動荷重半径は、走行中の遠心力の影響で静荷重半径より若干大きい。(動荷重半径 > 静荷重半径)
(注):空車状態に予備タイヤ及び工具並びに規定の乗車員数を規定位置に加えた状態でタイヤに負荷することができる最大の推奨荷重
タイヤの緩衝作用
路面からの衝撃は、直接タイヤにより吸収され、さらに、ショックアブソーバやシャシスプリングなどにより吸収される。
タイヤの緩衝作用は、タイヤの形状、寸法、材質、構造などによって左右されるが、空気圧及び荷重によっても大きく影響を受ける。
タイヤの空気圧が一定の場合、タイヤのたわみ量は、タイヤに加わる荷重にほぼ比例して変化する。このことからタイヤは、ばねの一種と考えられる。
タイヤに1mmの縦たわみを与えるために必要な静的縦荷重を静的縦ばね定数といい、この値が小さいほど路面から受ける衝撃を吸収しやすく、乗り心地が良くなる。
タイヤの転がり抵抗
  • タイヤの路面と摩擦による抵抗
タイヤは、路面との接触部で滑りを生じるため、摩擦による抵抗が発生する、この抵抗は、タイヤの転がり抵抗の内、一般に5~10%程度であるが、路面の状況やタイヤの構造、トレッドパターンなどの影響を受ける。
  • タイヤの変形による抵抗
タイヤは、回転するごとに路面により圧縮され、再び原型に戻ることを繰り返す。
タイヤを構成するゴムやタイヤコードが完全な弾性体であれば、圧縮に要したエネルギーは原型に戻るときに完全に放出されるが、実際には弾力として放出されるエネルギーは一部分である。これがタイヤの変形による抵抗の原因である。この抵抗は、タイヤの転がり抵抗の中で最も大きい。
タイヤの転がり抵抗は、路面の状況、速度及びタイヤの種類、構造、空気圧などの影響を受ける。
タイヤの発熱
タイヤは、走行中に路面との接触により、変形が周期的に繰り返され、この屈伸作用によりエネルギーの一部が変換されて熱となる。
また、タイヤの材料は、熱の良導体ではないので、発生した熱はタイヤ内部に蓄積され、タイヤの温度が上昇する。
タイヤの内部温度が異常上昇すると、ゴムやタイヤコードの強度及びタイヤ構成部品の接着力の低下を招き、セパレーション(剥がれ)やバーストを起こす原因となる。
この発熱は、タイヤの空気圧、荷重、速度、走行時間、トレッド溝の深さ、カーカス構造などにより異なる。
自動車の走行時間及び走行速度が増加すると、タイヤの屈伸運動の回数が増加し、発熱の度合いが大きくなる。それに連れてタイヤの発熱は、内部に蓄積されると同時に、一部は外部にも放散されるので、ある時間を経過すれば、図5-4のように一定の温度に落ち着く。

図5-4:走行時間とタイヤ温度上昇

タイヤの振動
タイヤは、寸法や外力に対して形を変えまいとする力(剛性)、質量(重量)などある程度の製造上のアンバランスは避けられず、これらが振動の原因になる。
一般的に、剛性、寸法、質量などをすべて含んだ広義の均一性(バランス性)をユニフォミティと呼んでいる。
  • 寸法の不均一による振動
タイヤの半径が、各部分において差があると、回転したときにタイヤが振動する。(**ランナウト**:回転体の心振れ、横振れを一般にランナウトという)
タイヤ自身に寸法的な狂いがなくても、タイヤとリムの組み付け不良などにより振れが生じることがある。また、タイヤとリムの両方に振れがあり、それが重なり合ってタイヤ自身の触れよりも大きな振動として現れる場合がある。このようなときには、タイヤとリムの位置を少しずらしてはめ直す、「位相合わせ」を行う。
  • 剛性の不均一による振動
タイヤは、荷重を受けてたわみながら、ばねのような働きをしながら回転している。しかし、ゴミの厚さの部分的な違いやカーカスの継ぎ目などがあるために、剛性にアンバランスが生じ、タイヤ円周上の各部分のたわみに微妙な変化が起こり、高速回転中にこれが衝撃力となり、タイヤの振動となって現れる。
タイヤ重量のアンバランスによる振動
  • スタチック・アンバランス
タイヤの一部が他の部分より重い場合、ゆっくり回転させると思い部分が下になって止まる。このときのアンバランスをスタチックアンバランスといい、タイヤの回転中はこの部分に遠心力が余分に働き、タイヤが上下に振動する
  • ダイナミック・アンバランス
タイヤにスタチックアンバランスがない場合、高速で回転させるとタイヤが横振れを起こすことがある。このときのアンバランスをダイナミックアンバランスといい、主としてシミーの原因になる。
  • シミー
路面の凹凸などによるキックバックがきっかけとなって生じる自動振動で、主としてキングピン軸周りの振動がハンドルに伝えられ、運転者の手に不快感を与える。発生車速は、非常に広い範囲にあり、車速に比例してその振動数が変化するのが特徴である。
タイヤの走行音
タイヤの走行音は、一般にラグ型パターンよりもリブ型パターンの方が小さく、また、バイアスタイヤよりもラジアルタイヤの方が小さい。タイヤの走行音は、主に次の3つに分類される。
  • パターンノイズ
タイヤのトレッドパターンの溝の中の空気が、路面とタイヤの間で圧縮され、排出されるときに出る音で、パターンのピッチが1秒間に通過する数と同じ周波数の音が発生する。
  • スキール
急発進、急制動、急旋回などの時に発生する「キー」という鋭い音で、タイヤのトレッドが路面に対して局部的に振動を起こすことによって発生する。
  • 道路の凹凸による音
道路の凹凸をタイヤが通過するときの空気の吸排作用による音で、路面に特殊な加工がしてある時には、パターンノイズのような音になる。
タイヤの寿命
タイヤの寿命に影響する主なものは、発熱、衝撃、疲労、摩耗などであり、これらの度合いは、空気圧、荷重、速度、温度、路面の状態、運転方法などにより大きく変化する。
このうち、空気圧と荷重は特に重要であり、規定の空気圧及び荷重で使用することが、タイヤの寿命を延ばす第一条件となる。

図5-5:空気圧とタイヤ寿命の関係

図5-5は、空気圧と寿命の関係を表した者である。適正空気圧を100%とし、縦軸は適正空気圧のタイヤ寿命を100%で示している。
静止したタイヤに荷重が加わると、接地部にたわみが生じる。走行中のタイヤでは、このたわみが繰り返されて熱が発生し、タイヤの温度は上昇する。
速度が高くなると、単位時間あたりのたわみ回数が増加するので、発熱量も増大し、タイヤの主成分であるゴムに悪影響を及ぼし、寿命を短くする。
また、気温や路面温度が高い場合には、タイヤの熱の放散が悪くなるので、タイヤの温度が上昇して寿命はさらに短くなる。
タイヤの偏平比
タイヤの偏平比を小さくすると、乗り心地が若干悪くなるが、旋回性能、高速時の操縦性能、駆動性能及び制動性能が向上する。
これは、タイヤの接地面積や横剛性が強くなることによって、コーナリングフォースが増加して走行時のロードホールディングが安定するためである。

図5-6:タイヤの偏平比

同一型式の自動車において、図5−6のようにタイヤの外径そのものを変えることなく、タイヤとホイールの大きさを組み替えることにより、その使用目的に合った偏平比のタイヤが選択できるように工夫されている。ちなみに、乗り心地が悪くなる原因は、タイヤの偏平比が小さくなるほど路面のグリップ力は向上するが、それだけタイヤのたわみ量が小さくなるため振動を吸収することができなくなるためである。

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