スバル・ヴィヴィオ CVTのシフトレバー

平成8年式 スバル・ヴィヴィオ  型式:E-KK3  エンジン型式:EN07 走行距離:47,600km

セレクトレバーが硬い

エンジンを始動して、セレクトレバーをRまたは、Dに動かそうとすると、レバーが硬く、エンジンを止めた状態ではレバーは軽く動く。という症状で入庫してきた。

過去の事例から見てもCVTのトラブルだと思い、ディーラーに電話して聞いてみると「電磁クラッチアッセンブリーとブラシを交換すれば直ります。」と言われた。

しかし、クラッチアッセンブリとなると部品代だけでも4万円近くになるので少し考えてしまう。現車を確認すると確かにエンジンを掛けた状態では、RまたはDにシフトするのは非常に硬く、なんとかシフトできると今度は「電磁クラッチ式CVT」であるにもかかわらずクリープがあり、じわじわと動き出そうとするが、走り出してしまえば何ら違和感はない。

CVT内部ではなく、電磁クラッチの切れ不良だけのようで、つながってしまえば滑らなくなり走行には問題は無いようだ。

電磁クラッチとクラッチパウダー

このクルマのCVTはトルクコンバーターではなく、電磁クラッチを採用している。この電磁クラッチは通常のクラッチやトルクコンバーターと違い、動力の媒体に鉄粉のような粉(クラッチパウダー)を使った電磁クラッチを採用している。この粉は導通によりエンジンからの動力をCVT本体に伝えクラッチがつながった状態と同じになるが、導通を切断するとその動力を遮断して、クラッチが切れた状態になる。特徴としてはCVTやATにあるクリープ現象がないことだ。

この車両の場合、シフトレバーがつながったときのクラッチ自体の滑りが見られないので、電磁クラッチ自体の内部のコイルは大丈夫なはずである。と言うことは電磁クラッチの中の粉が怪しい。

部品が供給されていない??

電磁クラッチの中の粉だけを交換したら直るのではないかと思い、スバルの部品部に連絡を取り注文しようとしたが、「現在、クラッチパウダーのみの供給は行っておらず、電磁クラッチアッセンブリのみの供給になります。」と言われたが、「この電磁クラッチは某電機社製のため、特約店の電装店からも購入できる可能性があります。」とも言われた。

パウダーのみの部品番号も、メーカーの部品品番は無くなっているそうなので、仕方なく直接電装店に問い合わせてみると、やはりだいぶ旧いクルマのことなので現在はもう担当者も変わっており、記録も残されていないと言われた。

品番さえ分かれば、どこからか手に入りそうな雰囲気ではあるのだが、ユーザーにその旨を説明すると、金額が高くなるようならこのまま我慢すると言われてしまった。

原因が分かったのに部品供給がないために作業できないとは、メカニックとしては辛い気分である。

電磁クラッチ不具合の原因とは

スバルのフロントマンの話では、このスバルのCVTが普通のATのようにクリープ現象が起きないため、それを嫌がるユーザーの中には一般の整備工場などでアクセルペダルに付いている電磁クラッチスイッチの位置をずらして、わざとクリープ現象を作っているパターンであれば、今回のような電機クラッチの不具合が起きるそうだ。

つまりAT(オートマチックトランスミッション)のトルココンバーターではなく、電磁クラッチのためクラッチはつながったか切れたかの状態しかない。ということはクリープ現象を作ったとすれば、それは半クラッチ状態と同じになるという。

また、そういった細工したパターンでなくても、坂道などでブレーキを使わず後ずさりしないようにブレーキを使わずアクセルを踏んで停止している状態も、同じく半クラッチと同じ状態になるので、そのような使用方法は避けて欲しいと言っていた。

似たようなことではあるが、以前に若いユーザーがATでNレンジ状態からエンジンの回転数を上げておいてDレンジに入れ、わざとホイールスピンさせていたが、そんなことをすればATが壊れてしまうのと同じことだ。

今回も走行距離数から見て、ひょっとしてCVTの誤った取り扱い方を行ったユーザーのせいもあるのかなと一瞬だが思ってしまった。

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