平成10年式ホンダ・ライフ:トラブルと勘違いする症状

平成10年式ホンダ・ライフ 型式:GF-JB1 エンジン型式:E07Z 3速AT




空吹かしで一定回転以上吹け上がらない

板金修理後に車両の点検を行ったところ、エンジン停止時に空ぶかしで4000回転以上吹け上がらないということだった。

取り敢えず確認してみると

  1. 工場に同じクルマの5速マニュアル車があり、車両停止時に空ぶかしで7,700回転まで吹き上がる
  2. エンジンの故障診断では異常が見られない
  3. ストール回転数を点検したところ規定範囲内である。

以上の点検結果より、3の点検はストール回転数が規定範囲なのでエンジン出力とオートマチック・トランスミッションには異常が無いと判断する。

ストールテスト

オートマチック・トランスミッションやCVTのテスト方法で各シフトレンジ(P・R・N・D・Lなどの場合)において、テストを行った際に規定の回転数以上エンジンの回転数が上がらなければ、オートマチック・トランスミッションは正常に作動している。このクルマの場合は各レンジともだいた3000~4000回転以上上がらなければOKである。

ストールテスト方法
  1. サイドブレーキを掛ける
  2. 輪留めをリアタイヤ前側にセット
  3. エンジンをかける
  4. ブレーキを力一杯左足で踏む
  5. Dレンジに入れる(各レンジで)
  6. アクセルを全開にする。
    注)アクセルの全開は短時間で行って下さい。(3秒ぐらいでやめる)

ここで気になるのは、5速マニュアル車と3速オートマチック車で、エンジン空吹かしの最高回転数の違いである。

サービスマニュアルで燃料カットについて確認するとエンジンの保護のため、走行時には、5速マニュアル車、3速オートマチック車ともに7700回転で燃料カットをし、車両停止時には、5速マニュアル車は7700回転、3速オートマチック車は4000回転で燃料カットすることがわかった。

工場から走行テストをした結果、走行時に4000回転以上吹け上がることが確認できたので、停止時に4000回転以上吹け上がらないことは異常では無いことを説明し作業を終えた。

この車両の場合は停止時に4000回転以上吹け上がらないことをトラブルであると思い、点検に来られるケースがよくあるので、注意した方がいいです。

エンジン故障診断(ダイアグノーシス・コード)の方法

ECUは自己診断機能を備えており、入出力系の異常を検知すると、コンビネーション・メーター内のPGM-FI警告灯を点灯させる。この状態で、助手席側ダッシュボード下にある16ピンのデータ・リンク・カプラのSCS端子を短絡させると、異常箇所を点滅回数で知らせ、故障箇所を推定することができる。同時に複数の異常が発生した場合は、それらの故障診断を示す点滅を順次繰り返す(点滅回数が10回以上の場合は長い点滅を10回と数える。)

O2センサ、スロットル・ポジション・スイッチの自己診断機能には、誤検知防止のため、2連続故障検出法を採用している。異常が発生した場合、ECUにメモリを保持しておき、イグニッション・スイッチOFF→ONの後に、同じ異常が再度発生した時点で、PGI-FI警告灯を点灯させ、運転者へ異常を知らせる。

故障診断チャートの進め方

PGM – FI警告灯が点灯した場合や運転中の不具合などで各故障診断チャートの点検を行う場合は、PGM – FI警告灯の点検、ECUのリセット、故障診断チャート終了後の処置などを 下記の手順に従い点検を始める。

ホンダPGMテスタまたは外部診断機を使用しない場合

ダッシュボード下にある、16Pのデータリンクカプラに専用指定市販工具(DLCターミ

ナルボックス)を接続し、DLCターミナルボックスのNo. 4端子とNo. 9端子を短絡させ スイッチを押す。PGM – FI警告灯が点滅し始めたら点滅回数を確認する。点滅回数は順次繰

り返す。点滅の長さは、長い点滅1回を10回と数え、短い点滅1回を1回点滅と数える。なお、 DLCターミナルボックスには外部診断機の接続が可能である。

 

  • DLCターミナルボックスを使用しない場合、データ・リンク・カプラのNO.9をNO.4を短絡する

 

ECUのリセット

この作業は、ホンダPGMテスタまたは外部診断機をデータリンクカプラ(16ピン)に接 続することで、ホンダPGMテスタまたは外部診断機でも行うことが出来る。

  1. イグニッションスイッチをOFFにする
  2. リレーボックス内のバックアップ(7.5A)ヒューズを10秒以上外して、ECUのメモリをリセットする。

注)ECUリセットを行うと、時計、ラジオのメモリも一緒に消えてしまうのであらかじめ内容を覚えておくこと。

 

 故障診断終了後の処置

  • データリンクカプラよりDLCターミナルボックスを外す。
    • データリンクカプラのscs端子を短絡したままにした場合、PGM – FI警告灯は点灯したままになるので注意すること
  • ECUリセットを行う
  • 時計の時間のセット、ラジオ局のプリセットを行う。
    • PGM – FI警告灯は、カプラの接続不良時にも点灯または点滅する場合があるので、故 障診断チャートに従って点検を行っても故障箇所がわからない場合は、ECUの2つのカプラおよび推定故障箇所のカプラの接続状態を点検(必要な場合は清掃、修理を行う)する。
  • PGM-FI警告灯点滅回数別故障診断表(ダイアグノーシス・コード)

 

燃料カット(フューエル・カット)

減速時燃料カット

エンジン暖機後、スロットルポジンョンスイッチ信号が入力されると、エンジン回転数1150rpmを超える領域で燃料をカットし、燃料経済性の向上を図っている。

高回転時燃料カット

エンジンの保護のため、下表のエンジン回転数を超える領域で燃料をカットしている。

高速時燃料カット

車速135km/h以上、且つエンジン回転数5,500rpmを超える高速域において燃料をカット している。



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