自動車のパーキングブレーキについて
パーキングブレーキ(駐車ブレーキ)は、言うまでも無く、駐車場などで自動車が動くことを防止するためのブレーキである。操作力をワイヤーなどを利用して伝える操作機構と、その力を受けて制動力を発生するブレーキ本体とに分けられる。
こう解説すると難しそうだが、単純に後輪ドラムブレーキのブレーキシューをフットペダルではなく、機械的に広げる装置を加えたというだけです。
ディスクブレーキの場合は二つの方法があり、一つはパーキングブレーキ専用のドラムブレーキ機構を持つもので、もう一つはピストンを機械的にディスクに押しつける装置を加えたものである。パーキングブレーキ専用のドラムブレーキの作動は、普通のドラムブレーキと基本的には変わらない。
ブレーキレバーに加えられた操作力は、左右両輪のブレーキが同時に正しく分配されるようにイコライザーという装置によって、左右に等しく分配されるようになっている。
目次
パーキングブレーキ本体
ドラム式
ドラム式の場合は、ブレーキレバーの操作力を伝えるフレキシブルワイヤーがブレーキシューのワイヤーを引っ張ることでシューストラットが一方のブレーキシューを押し、その反力でもう一方のブレーキシューも押されてドラムに圧着される。(図1参照)作動する部分は実際には図1のような仕組みになる。
パーキングブレーキ専用のドラムブレーキを持つディスクブレーキは図3のようになり、ディスクの中央部分にドラムブレーキが組み込まれている。ドラムインディスクブレーキ方式とも呼ばれる。
ディスク式
ピストンを機械的にディスクに押しつける方式のパーキングブレーキは図4のようになっており、内部の構造を断面で見ると図5のようで、ブレーキレバーを引くとワイヤーによってレバーが動き、レバーシャフトが回転する。すると、リンクがスピンドルを介してピストンが矢印の方向に回転しながら移動するので、パッドがディスクローターに押しつけられて、制動作用を行う。
ブレーキパッドが摩耗すると、内部の自動調整装置によってパーキングブレーキの引きしろが調整される
ピストンを機械的にディスクに押しつける方式は、構造上フローティングキャリパー型にしか使えない。したがって、対向ピストン型キャリパーの場合にはパーキングブレーキ専用のドラムブレーキを持つドラムインディスクブレーキ方式となる。つまり、対向ピストン型キャリパーを使用することが多い大型乗用車や高性能車の場合は、ドラムインディスクブレーキ方式が採用されることになる。
センター式
センター式は、トラックやバスに使用されるもので、トランスミッション後部のプロペラシャフトとの連結部分にパーキングブレーキ用のブレーキドラムが設けてある。(図6参照)制動作用はブレーキシューを拡張して、ドラムに圧着させることで行うが、作動自体は先のドラム式と同じである。
パーキングブレーキの操作機構
パーキングブレーキの操作機構には、レバー式、ステッキ式、ペダル式などがある。かつてはコラムシフト式の変速操作の関係でステッキ式が多く採用されていた時期があったが、(旧い中型トラックなど)現在はフロアシフト式の変速操作で、レバー式が多く用いられている。
レバー式は、図7のように車内フロアに配置されたブレーキレバーを引き上げることでブレーキを作動させる方式である。ブレーキレバーは、ラチェットのハにラチェットレバーの爪が引っかかることで引き上げたア状態を保持するようになっている。従って、ブレーキを解除するためには、ブレーキレバーを少し引いた状態でレリーズボタンを押し、ラチェットレバーの爪を外すことで解除してやる必要がある。