セルシオのキーが盗難された場合

平成12年式トヨタ・セルシオ 型式:UCF31 走行距離:29,500km

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「普段は、ズボンのポケットにメインキーを1本入れているが、その日に限ってセカンドバックにメインキーを2本当も入れていたところ、知らないうちにバックごと盗まれてしまった。早急になんとかしてほしい………。」と連絡があった。

会社にサブキーがあるらしいので、とりあえずそれで工場まで来てもらうことにした。年末12月も後半のことである。

メーカー・ディーラーに確認

ディーラーに確認すると、この車両の場合、新車の時のメインキーが2本、サブキーが1本で、メインキーが2本ともない場合、キーシリンダーセットは当然交換する方がいいが、あとセキュリティとイモビライザをそれぞれ制御しているコンピュータを交換しないといけないと教えてもらい、一応オーダーしたのだが、時期が時期だけにすべてそろうのは、無理なようである。

ユーザーの状況を考えてみるのだが、昼間は同じ駐車場に止めることが多く、メインキーを盗られているだけに、リモコン操作でドアロックの解除は容易にされてしまい、おまけにハザードの点滅で知らせてくれるので、周りに不信感を与えることなく堂々と車ごと盗まれる可能性がある。

しかし、すべての部品がそろわなければ作業は出来ない。仕方なく年内の作業は諦めてもらうことにした。ただ、残っているキーは1本しかないので、念のためスペアキーができないかどうか調べたのだが、内溝のキーはできるが、イモビライザシステムのため、ドアの開け閉めだけでは、エンジンはかけられないということであった。メーカーで溝をカットしてもらうにしても2週間くらいかかってしまう。無意味である。

ユーザーは、どうしても年末、年始にこの車が必要みたいなので、今ある唯一の1本のキーを紛失しないように、くれぐれも気をつけてくださいと念を押して、とりあえず帰ってもらった。

再びディーラーに確認

年が明けて、すべての部品がそろったので、車を入庫してもらった。右ドア、トランクなど合計6カ所のキーシリンダーの交換は容易に行うことができた。また、セキュリティコンピュータは、マルチビジョン奥にあり、これも比較的容易に交換作業を行うことができた。

残るイモビライザコンピュータだが、ディーラーからのリレーロケーション図のFAXからは、ステアリングポストのあたりにあると書いてあるが、全然見当たらない。

再びディーラーに連絡を入れ、再度確認してもらうと、やはりFAXのものは、スマートキー装着のもので、今回の車のようにスマートキーなしのものは、セキュリティと同じマルチビジョンの奥の方にあるそうである。

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セルシオ:マルチビジョン

ただ、連絡した先のディーラーでは、今回のような交換作業を未だ行ったことがないそうで、はっきりとした場所は分からないということであった。作業指数表を見せてもらうと、ダッシュパネルの脱着などの作業がある。どうやらそこまでやらないと交換は無理なようである。

ダッシュパネル脱着??

ダッシュパネルの脱着は大損症の事故ならともかく、できることならやりたくない作業である。(面倒だし…。)

しかし、もう一度マルチビジョンの奥を、ライトの明かりで照らしてみると、3個あるカプラの奥、フロントガラスの付け根ぐらいにかすかに見える。カプラのホルダーを外し、サイドにずらした状態でなんとか取り付けビスを緩めることができた。

新しいイモビライザコンピュータと差し替え、なんとか取り付けビスも締め付けることができた。ただ、付属のブラケットは使用しなかった。このブラケットも新品に変えようと思ったら、やはりダッシュパネルを取り外さないと無理そうである。

作業性はかなり悪かったが、ダッシュパネルを外さずに済んだのでよかった。後は、登録作業をFAXの指示どうりに行い、作業完了となった。

かつての高級車ゆえに、いい装備かつ複雑な装置の配置。難しい盗難対策。難解な修理。ハイスペックな車におけるユーザーの満足度とそれが故障したときの修理の難解度は反比例するものなのだろう。

 

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