平成7年式 スズキ・ワゴンR 型式:E-CT21S トランスミッション型式:EH2 3速AT 走行距離63,000km
ATが3速へ変速しない
通常走行時で、冷間時は3速まで正常に変速するが暖機をすると3速へ変速しないというトラブルで、工場で点検した作業内容は次の通り。
- ダイアグノーシスによる点検は正常だった。(参考資料)
- ATFの量は基準値内であったが、汚れが酷かったのでオイルパンを外して清掃し、ATFを交換したが症状に変化は無かった。
このクルマのATの場合、変速制御をシフト・ソレノイドで行っているので、最初にシフトソレノイドA・Bの抵抗点検と作動音の点検をすることにした。
シフトソレノイド単体点検
コネクタを外し端子とボデーアース間の抵抗を点検する。
基準抵抗値(Ω)
- ソレノイドA(①〜ボデー間):三菱製24〜28/リケン製20〜24 (20℃時)
- ソレノイドB(②〜ボデー間):三菱製14.4〜17.6/ナイルス製17.5〜19.5 (20℃時)
以上の基準値より点検の結果、抵抗測定値は基準値内で異常は無かった。
バルブボデー分解
次に、シフトソレノイドA・Bに上表の通り12V電源を加え、強制駆動した場合1速から3速まで正常に変速するかどうかを実走行で点検したが3速への変速はしなかったので、AT本体の不良であると判断した。ATバルブボデーをオーバーホールして、そのAT本体の中でも変速に関するバルブである2−3シフトバルブを取り外し、清掃したところ3速までスムーズに変速するようになった。
- バルブボデー(アッパー)
今回のトラブルはATFの汚れが酷かったために、何らかの異物が2-3シフトバルブに噛み込み、3速へ変速しなかったということが考えられる。ATFの点検と交換はこまめに行い、早めATF交換によりトラブルは未然に防ぐことができる。
参考資料:ダイアグノーシス・コード別故障診断
ダイアグノーシスによる点検時の注意
ダイアグコードを識別する前に、イグニッションスイッチをOFFにしたり、バッテリの端子を外したり、EPIコントローラーのアース線を外すと、ダイアグノーシス・コードは消去される。
- ダイアグノーシス・コードの表示方法
ダイアグノーシス・ランプが点灯するまで、走行テストを行う。
イグニッションスイッチONの状態のまま、モニタカプラのA端子とC端子を短絡する。
- モニタカプラ端子
- A端子:ダイアグノーシス・スイッチ
- B端子:ダイアグノーシス・ランプ
- C端子:アース
- D端子:イニシャルセットスイッチ
- E端子:モニタ
ダイアグノーシス・ランプの点滅回数を数え、ダイアグノーシス・コードを読み取る。
※異常が2カ所以上ある場合には、コード番号の小さい順に3回ずつ出力される。