パジェロ・エンジン異音

平成4年式三菱パジェロ 型式:Q-V44WG 走行距離:174,265km

 

 

 

噴射ノズルが死んでいる?

エンジンから、ノズルが一本死んだような音がしている。また、エアクリーナからも”パンパン”と吹き返したような音がする。

行きつけの工場で「ノズルが一本死んでいる」といわれ、交換したが一向に治らない。ということで入庫となった。

 

バルブクリアランスの過大

噴射ノズルを一本ずつ切っていく(ノズルの高圧パイプを緩め燃料をカットする状態を作る)が、異音はいっこうに止まらない。

エアクリーナーの吹き返しの音がするということから、最も考えられる原因は「エンジンのバルブクリアランスが大きすぎる」ということである。

 

カムシャフトが…!

インタークーラーやエアダクトなどを取り外し、タペットカバーを取り外すと3番シリンダーに当たる部分のカムシャフトが異常摩耗している。このことから異音の原因は噴射ノズルではなく、カムシャフトの異常摩耗によるバルブクリアランスの過大と断定した。

 

原因の特定からお客様への説明

お客様に事情を説明し、ご納得頂いた後、カムシャフトとローラーロッカーアーム(お客様の予算の都合で一個のみ)、走行距離数よりタイミングベルトとウォーターポンプまで取り替えることになった。

また、走行距離数が20万キロに近いので、噴射ポンプのOリングが硬くなり燃料漏れを起こす恐れがあるので噴射ポンプのオーバーホールをすすめたが、これはしないことになった。




 

タイミングのずれ

各補機プーリーとタイミングカバーを取り外してタイミングベルトの位置合わせをすると、カムシャフトの山が一山ずれているではないか。

タイミングベルトを外し、カムシャフトとローラーロッカーシャフトを外してみると、ローラーは内側に入り込み、ローラー横のロッカーアーム自体がカムシャフトに当たっていた

走行距離が17万キロ超えているとはいえ、オイル管理も特に悪くはなく、なぜローラーが1っこだけこうなったのか原因がわからない。タイミングベルトがずれているからとしても、ローラーが一個だけ不良になるとは限らない。

そこでロッカーアームを分解してみると、ローラーの中のベアリングがまるく減っており、数本は折れてバラバラになっていた。原因はこれである。

新品のロッカーアーム、カムシャフト、各部のオイルシール、ウォーターポンプを取り替え、タイミングベルトを正規の位置で取り付けた。

 

修理の完了とその後

タイミングカバー、プーリー、ベルト類を取り付け、インタークーラーを取り付けていると、折りよくユーザーの方がお見えになり、ラジエーターにLLCを注入後、一緒にエンジンを始動することととなった。

スターターモーターが、キュルキュルとまわったあと、ぷるんとエンジンが始動し、ディーゼル車特有のエンジン音を出し始めた。ユーザーは「これだよ、これ。以前に比べたら格段に静かになった」と喜んでおられた。

クルマを引き取られた後、調子がいいといって二度も訪ねられて、おまけに知人の車のヘッドガスケットが吹いているようなので修理して欲しい」新たなユーザーも紹介して頂いた。整備士としてとても嬉しい出来事であった。

 

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