平成3年式:トヨタ・カローラ 型式:E-AE101 エンジン型式:4A-FE 走行距離:68,000km
アイドリング不調と吹け上がりの悪さ
時々エンジン始動後にエンジンチェックランプが点灯して、アイドリング不調とエンジンの吹け上がりが悪くなるというトラブルが発生するとのこと。車検時に一緒に修理して欲しいとユーザーより依頼を受けて入庫した。
エンジンチェックランプ自己診断
点検の結果より、エンジンチェックランプが点灯していたので、自己診断を見ることにした。ダイアグノーシス・コネクタのTe1端子とE1端子を短絡してイグニッション・スイッチをONにするとランプは点灯したままであったのだが、Te1端子を開放して、イグニッションスイッチをONにするとランプは点灯しなかった。
次に、スターターを回したが、なかなか指導しないがそのまま回し続けるとエンジンチェックランプが点灯して、エンジンが始動しユーザー様が言われていた症状を確認することができた。
以上の結果から、ダイアグノーシス・コード表示もしないし、エンジンチェックランプが点灯してからエンジンが始動するため、エンジンコンピュータが不良なのではないかと疑われる。
マニュアルにより確認
マニュアルを取り寄せて確認すると、エンジンコンピュータにバックアップ機能があるので内容を確認すると、エンジンコンピュータ内のEPUに異常が発生した場合には、バックアップ状態になりダイアグノーシス・コードが表示されず、点火時期がBTDC5°(ピストン上死点前5°の位置)固定されるということがわかった。
実際にタイミングライト点火時期を確認するとアイドル状態、空吹かしでも点火時期がBTDC5°(ピストン上死点前5°の位置)を表示していたのでエンジンコンピュータが原因であると判断し交換することにした。
エンジンコンピュータを交換し、トラブルを終了した。
ダイアグノーシス・コード
- 各センサーからの信号に異常が発生した場合に、エンジンコントロールコンピューターが異常信号を検知して、コンビネーションメーター内のチェックエンジンウォーニングランプを点灯させ運転者に知らせる。また、異常部位はコンピューターに記憶され、ダイアグノー シスコネクター内のTei端子を短絡しIDL接点をON状態にしたときにウォーニングランプが点滅します。その点滅回数(コード番号)により異常項目を点検作業者に知らせます。
- 従来のダイアグノーシス機能に比べて検出精度を大幅に向上させたテストモード法を採用しています。これにより、従来ダイアグノーシスでの検出が困難であったコネクター不良による 信号瞬断やスターター信号、スピードセンサー信号の断線などの検出精度が向上し、故障診 断作業の精度向上および簡素化をはかりました。
- ダイアグノーシス・コードと診断内容
フェイルセーフ機能
各センサーからの入力信号に異常が発生し、その異常信号のまま制御を続けるとエンジン不調、触媒過熱などに至る可能性がある場合、マイクロコンピューターに記’億されている標準 値を使用して制御を継続するか、エンジンを停止するシステムです。
車両異常が発生した場合のフェイルセーフ機能
- 吸気管圧力信号異常時(バキュームセンサー)
パキュームセンサーからの入力信号に異常(断線または短絡)が発生した場合、空燃比にずれが生じエンジン不調となります。この場合は,点火時期および燃料噴射時間を 一定値に固定するバックアップモードに移行を行い、走行可能な状態にします。
- 点火信号異常時(IGコイル断線)
イグニッションコイルの断線など点火系に異常が発生した場合、失火による触媒過熱の恐れがあります。このため、イグナイターからの点火確認信号(IGf)が2回転連続 して入力されない場合は点火系の異常と判断し、燃料の噴射を停止します。
- 水温信号・吸気音信号異常時(水温センサー・吸気温センサー)
水温、吸気温センサーからの入力信号に異常(断線または短絡)が発生した場合、空燃比が過濃または希薄となりエンストや冷間時にエンジン不調となります。この場合は、 水温80°C、吸気温20°Cの標準値に固定して制御を行います。
- エンジンコンピュータ・バックアップ
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万一、エンジンコントロールコンピューター内のCPUに異常が発生した場合には、スターター信号やスロットルポジションセンサーのIDL接点のON、OFFなどの条件によ り、定められた燃料噴射時間、点火時期に制御を行い走行可能な状態にします。また、同時にウォーニングランプを点灯させ運転者に知らせます。
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バックアップ作動中はダイアグノーシスの表示がされません。このような場合の点検方法はTe1端子の短絡をしないで点火時期(BTDC 5o°に固定される)で行います。
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