アライメント測定ゲージ
目次
ターニングラジアスゲージ
ターニングラジアスゲージは、図1のようなテーブル状の外観をしていて、前輪ホイールの操舵角度を測定する機器である。ホイールアライメントにおける、キャスタやキングピンアングル(傾角)を測定する場合にも、前輪ホイールアライメントテスタと併用する。
前輪ホイールの切れ角を測定する場合は、左右の車輪をターニングラジアスゲージに載せてステアリングホイールを操舵すると、ターンテーブルがホイールとともに回転して、指針と目盛盤によってホイールの操舵角度が測定できるようになっている。
ターニングラジアスゲージには、固定式と移動式とがあるが、一般的には移動式1輪用のものを2基使用して測定する。
ターニングラジアスゲージの構造・取り付け方法
ターニングラジアスゲージは、図2のようにターンテーブルと移動盤とケースに分けられる。指針は移動盤に取り付けられ、文字盤はターンテーブルに取り付けられている。ターンテーブルとケースにはピン穴が設けられており、ピンを差し込むことによって固定することができるようになっている。
ターンテーブルと移動盤の間には多数のスチールボールが組み込まれており、荷重がかかった状態でもターンテーブルがスムーズに回転できるようになっている。移動盤とケースとの間にも数個のスチールボールがリテーナで適切な間隔を保って配置され、移動盤がケース下面に設けられた穴の範囲内で移動できるようになっている。
なお、移動盤は4本のコイルスプリングでケース内に支持されており、無負荷の時は移動盤を常に中心位置に保つようになっている。また、ターンテーブルと移動盤及びケースは、その中心ボルトで適切なクリアランス(隙間)は与えられた状態で結合されている。
ターニングラジアスゲージの測定方法
操舵角度が最大の切れ角の測定の場合は、次の手順で行う。
- 平坦な場所でゲージを前輪ホイールのトレッド面に合わせて配置する。
- 前輪ホイールを上げるために、ジャッキアップする。
- ターンテーブルとケースを固定するためにピンを取り付けておき、前輪ホイールを正しく直進状態にしてゲージの中心点とタイヤの中心線を合わせるようにゲージの位置を決める。
- ジャッキを静かに下げて、ゲージ上に前輪ホイールを載せる。(図3)
- 左右固定用のピンを抜き、目盛りのゼロ点を調整する。
- ステアリングホイールを左または右いっぱいに操舵して、そのときの目盛りを読み取る。
ターニングラジアスゲージの保管方法
- 移動や保管するときには、必ず固定ピンを差し込んでおく。
- ホコリや水がかからないようにする。
- 車両に乗り上げる方法で、ターニングラジアスゲージの上に載せない。
キャンバ・キャスタ・キングピンゲージ
ホイールには、安定して走行するための直進性や、旋回性及び直進状態に戻るための復元力などの性能が要求される。これを実現するには、その車両に適切なホイールアライメント(4輪の整列)が必要とされる。
- ホイールアライメントの5つの要素
- キャンバ
- キャスタ
- キングピンアングル(キングピン傾角)
- トーイン
- 左右の切れ角
この5つの要素の中で、キャンバとキャスタ及びキングピンアングルは、キャンバ・キャスタ・キングピンゲージで測定することができる。このゲージは様々な形式があるが、マグネットを利用して取り付けるタイプのものが一般的に用いられる。(図4)
キャンバ・キャスタ・キングピンゲージの構造・取り付け方法
キャンバ・キャスタ・キングピンゲージは、図5-1,図5-2のように、ゲージで固定するためのマグネット、キャンバとキャスタやキングピンアングルを測定するための水準器で構成されている。
このゲージは、マグネットを利用して前輪ホイールのハブに取り付け、ゲージの中央にある水準器の気泡を中心位置にすれば、自動的にホイールの回転面とゲージの文字盤とが直角になるように造られている。
また、ハブに直接取り付けられない場合には、図6のようにコンペンセータと呼ばれる補助の取り付けアダプターをホイールのリム部に取り付け、これにゲージを固定させて測定する。
キャンバの測定方法
キャンバ測定は、測定を行う前に、キングピンやボールジョイントおよびホイールベアリングなどに異常がないかガタなどの有無を点検して、異常があれば修正する。また、正確な測定値を計測するために計測する場所は、舗装した平坦な場所を選び、タイヤの空気圧を規定値にして、空車状態にする。さらに、車体を上下に揺すってサスペンションスプリングを安定状態にする。(独立懸架式サスペンションの場合)
準備が整ったら、キャンバ測定を以下の手順で行う。
- 前輪ホイールを直進状態にする
- ハブキャップを取り外し、ゲージを取り付ける。(場合によりコンペンセータを使用する)
- ゲージのセンタリングロッドの先端と車両のハブ中心(スピンドルのセンター部)に合わせて、正しく中心を出して取り付ける。
- キャンバ・キャスタ・キングピンゲージ本体の水準器の気泡が「0」になるように、キャンバ・キャスタ・キングピンゲージを水平にする。
- キャンバ用目盛り内の気泡の中心で、キャンバの目盛りを読み取る。(図7)
- 反対側の前輪ホイールも、同様に測定する。
キャスタの測定方法
キャスタとキングピンアングルの測定はホイールが回ると正確に測定できないので、必ずフットブレーキを掛けた状態で行う。測定時に車両が空車状態である必要があるので、図8のようなペダルストッパーを取り付けてもよい。
キャスタとキングピンアングルの計測手順は同じで以下の手順で行う。
- ターニングラジアスゲージに測定する車輪を載せる。以後、キャンバ測定と同じ要領で、キャンバ・キャスタ・キングピンゲージを取り付ける。
- 前輪ホイールを車両中心外側に20°静かに回す。
- キャスタ用目盛り内の気泡をアジャスタスクリューで「0」に調整する。
- 前輪ホイールを、直進状態から車両中心側に20°静かに回す。
- キャスタ用目盛り内の気泡の中心で、キャスタの目盛りを読み取る。(図9)
- 反対側の前輪ホイールも、同様に測定する。
- キングピンアングルは、上記1~6と同じ要領をゲージ上のキングピンアングル用目盛りで行い、計測値を読み取る。(キングピンアングルスケール)
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