シリンダーヘッドを下ろす際の順番
オーバーヒートの原因であるシリンダーヘッドガスケットの交換のためにシリンダーヘッドを下ろすわけですが、自分の場合の順番は以下の通りです。
- 排気系統(エキゾーストマニホールド)の分解
- 吸気系統・電装系統(インレットマニホールド)の分解
- タペットカバー取り外し
- タイミングベルト・ウォーターポンプの分解
- シリンダヘッドを下ろす
排気系統(エキゾーストマニホールド)の分解
排気系統はボルト・ナット類がさび付いていて、緩まなかったり、最悪折れてしまう場合もあります。なので、どうしても取り外しが不可能な場合は、エキゾーストマニホールドと触媒をそのまま取り付けたままでヘッドを降ろす方法もあります。ただし、ヘッドを降ろした後、ロッカーシャフトや、バルブ類などをオーバーホールする場合、かなり邪魔になるかと思われます。
できるだけ全てを取り外せた方が後々ラクだとは思うのですが、例えばコストの関係などで、ヘッドガスケットのみの交換なんかの場合は取り外さないで触媒のあとのマフラーのみ取り外すと作業時間を短縮できるのではないかと思います。
サーモスタットとハウジングを取り外す
LLC(冷却水)を抜く際に、このサーモスタットのハウジングにドレンボルト(12mm)があるので、そこからLLCを抜いておきます。サーモスタットの位置はタイミングベルトカバー側のウォーターポンプの隣の位置にあります。ウォーターホースが2本接続されているので分かりやすいかと思います。
サーモスタットのパッキンはあらかじめサーモ本体に取り付けられています。
触媒本体とマフラーパイプを取り外す
触媒本体とマフラーパイプの接続を切り離します。このときスプリング付きのボルトを2本取り外すのですが、ボルト折れを防ぐためにもインパクトレンチはできるだけ使わない方がいいと思います。ネジ部にCRCなどの浸透潤滑剤を吹き付けてゆっくりと二本交互に緩めていくことをおすすめします。
また、触媒とマフラーパイプの位置を決めるのと、ワイヤーハーネスとの緩衝を防ぐためのアーム類は、組み立ての時にその位置を忘れやすいので、写真に撮って記録して覚えておくのがいいかと思います。
遮熱板を外してエキゾーストマニホールドを取り外す
エキマニを囲んでいる遮熱板は2枚です。共に10mmのボルト2本ずつで緩めればいいのですが、非常に折れやすかったり、ねじ頭がなめて締まっていてレンチがかからなかったりすることがあります。10mmなので高いトルクではないのですが、普通に緩まない場合は、バイスプライヤーかプライヤー類などで、力技で緩める方法もありますが、最悪の場合はいっそのことねじ切ってしまって、あとからドリルとタップで修正する方法もあります。なので、緩まないからといって、諦める必要はありません。大切なのは、どんな場合でもリカバリーができる選択肢を数多く持つということです。
触媒に付いているO2センサーも忘れずに取り外しておきましょう。
エキマニのガスケットは金属製なので、ヘッドには張り付いておらず、簡単に取り外せます。
以上がヘッドを降ろす際のエキゾーストマニホールド・マフラー類の取り外しですが、ここで注意すべき点は、やはり焼き付いて固着していたり、さび付いていて緩みにくくなったボルト・ナット類の扱い方だと思います。自分の経験上、排気系の整備はそのクルマの使用状況によって違ってくると思います。例えば、日常的に使用されていて、排気系が常に熱にさらされているクルマより、あまり走行することなく、長い期間放置されたクルマのほうが排気系に使用されているボルト・ナット類が痛みやすくて、緩めにくく、整備作業上のトラブルが起こりやすいということです。
整備に取りかかる前にそのクルマの使用状況を知っておくことは、そこから想定できるトラブルを予測することができて、それに応じた整備作業のプランを大まかにたてることで、スムーズな作業が期待できるのではないでしょうか。