平成8年式:トヨタ・クラウン 型式:E-JZS155
ワイヤレス・ドアロック機能のトラブル
オート・ドアロックが作動しないとのトラブル相談を受け、症状を詳しく聞くと、運転席ドア・キー連動ロック・アンロック機能、車速感応オート・ロック機能及びマニュアル・ドアロック機能は正常に作動するが、ワイヤレス・ドアロック機能のみが作動しないということであった。
以上のトラブル内容からトランスミッタ又は、ドア・コントロール・レシーバの不良であると考えられる。
トランスミッタ信号の確認
トランスミッタからの信号を確認するため、ポータブル・ラジオの周波数をFM78.5MHz〜78.7MHzにセットし、トランスミッタのキープレートをポータブル・ラジオのアンテナに接触させてトランスミッタの送信スイッチを押したときスピーカーから雑音がするかどうかをユーザーに点検してもらうことにした。
結果、スピーカーより音はしないとのことだったので、トランスミッタの電池残存容量を下記の「参考資料1」の容量で点検して異常が無ければトランスミッタの不良であることを説明しトランスミッタを交換してもらうことにした。
トランスミッタの交換
トランスミッタを交換する場合は、それぞれ単品で補給されているため、交換時は固有の識別コードが必要である。下記の「参考資料2」により識別コードの登録をすると、ワイヤレス・ドアロック機能は改善した。
今回のトラブルは、トランスミッタの不良により生じたものであるが、車種によっては識別コードの登録ではなくて、ドアコントロール・レシーバー内のROMを交換するタイプもあるので注意が必要です。
参考資料1
電池残量容量点検
- トヨタエレクトリカルテスターを使用する。
- 無負荷状態では、電圧によるリチウム電池の良否判定はできない。
トランスミッタが不良の場合は、電池残存容量の点検ができない場合がある。
トランスミッタに使用しているリチウム電池は、電池容量が完全になくなるまで、 無負荷で2.5V以上の電圧をテスター表示する。したがって、電池残存容量点検時には、負荷(1.2kQ)をかけた状態で電圧測定する必要がある。
- 精密プラスドライバーを使用してスクリューをはずし、 カバーを取りはずす。
- バッテリー(リチウム電池)を取りはずす。
- リード線をトランスミッタのマイナスターミナルに接続し、バッテリー(リチウム電池)を取り付ける
- バッテリー(リチウム電池)の+にテスターの+、 リード線にテスターのマイナスを接続する。
- トランスミッタ本体側面の送信スイッチを約1秒 間押す。
- 再度、トランスミッタ本体側面の送信スイッチを 押し、電圧を点検する。(基準:2.1V以上)
- 電池の温度が低いと正確な良否判定ができ ないため、点検結果が2.1V以下の場合には、 18°C以上の場所に3分以上放置後、再度点検する。
- オートパワーオフ機能によりスイッチを押してから0.8秒後に無負荷電圧(2.5V以上)となるため、その前に電圧を読み取る。
- 放置後の1~2回は、高い電圧を示すことがあるため、3回目以降の電圧で判定する。
- リード線を取りはずす。
- バッテリー(リチウム電池)をトランスミッタにセットする。
- 0リングにねじれ、ずれがないようにカバーを取り付ける。
- 〈参考〉点検時には、Oリングを交換する
- 精密+ドライバーを使用して、スクリューを締め付ける。
参考資料2
識別コードの登録