フィットユーザー車検・ブレーキ調整

平成21年式:ホンダ・フィット 型式:GE6  エンジン型式:L13A 走行距離:181,500km

ホンダ・フィットの車検整備

自分の車の車検整備である。事前にジャッキアップして点検したところ、走行距離が18万キロの割にはほとんど傷んでいるところが見受けられなかった。下回りも外観も特に問題は無いので、このまま何も整備せずに持ち込み検査を受けようかと思ったが、走行距離数を考慮した消耗部品を交換して、取り敢えず車検整備することにした。

車検整備の内容(交換部品等)は以下の通りである。

  • エンジンオイル交換 3.5ℓ(ホンダ純正 0w-20)
  • オイルエレメント交換
  • エアーエレメント交換
  • ワイパーゴム交換
  • フロントディスクパット交換
  • ブレーキオイル交換 1.0ℓ
  • ブレーキ調整
  • HMMF(ホンダ・マルチマチックフルード)交換
  • プラグ交換

部品にかかる費用は、上記の部品でおおよそ12,000円〜14,000円くらい用意しておけば手に入るのではないでしょうか。(ネット通販価格)



リヤ・ブレーキ調整

ホンダ・フィットのようなリッタークラスのFF車や軽自動車は、日本車の場合ほとんどがリヤ・ブレーキはドラム式になっていて、ブレーキドラムとブレーキシューの当たり(隙間)を調整することによりサードブレーキの引きしろとリヤブレーキの効き具合をある程度の範囲に調整することができます 。

ドラムを外す

最初にドラムを外します。サイドブレーキレバーが完全におりていて、ドラムがスムーズに回転することを確認してから、手でドラムを外します。固着して外れないときには、ハンマーなどで軽く叩くと、簡単に外すことができます。

清掃してグリスアップ

エアダスターやブレーキクリーナーなどで、ブレーキ本体に付いた汚れを完全に落とします。ヨゴレの正体はブレーキが焼けた後に残るススやブレーキシューの粉なので、吸い込まないように注意しましょう。汚れを落としたら、ホイールシリンダーのカップキットからブレーキ液が漏れていないかを点検します。小さなマイナスドライバーでホイールシリンダをめくって点検します。また、ホイルシリンダーが動かす両側2枚のブレーキシューを手で左右に動かしてスムーズに動くかどうかや、取り付けられているスプリングが適切に作動しているか、サイドブレーキに繋がっているワイヤーが突っ張っていないかを確認・点検します。

もっとも分かりやすいのは一人運転席に座ってもらい、ドラムを外した状態でほんの少し(本当にほんの少し)ゆっくりとブレーキペダルを踏んでもらってブレーキシューの動きを目視確認することですが、これは踏みすぎるとホイールシリンダーのピストンが飛び出してしまうので慎重に作業して下さい。それから、このとき絶対にサイドブレーキレバーを引いてはいけません。もし引いてしまったり、ペダルを踏みすぎてしまった場合にはドラムブレーキOHとサードブレーキワイヤーを元に戻さなければならなくなるので十分に注意して下さい。

以上の点検で異常が無ければ、ブレーキシューとブレーキドラムの当たり面を60番のヤスリペーパーでシューは焼け跡が消える程度、ドラムは磨き跡がある程度までつく位まで磨いたあと、ブレーキシューとドラムブレーキのバックプレートの当たり面にグリスの跡があるのでそこに新しいグリスを注しておきます。隙間がないのでマイナスドライバなどでこじって隙間をつくり、スプレー式の専用グリスが使いやすいかと思います。ちなみにグリスの種類はモリブデングリスが適切かと思います。(金属同士の摺動に使う用途で耐熱性のあるもの)

ブレーキ調整の手順

調整アジャスターを回転させる

小型のマイナスドライバーやブレーキ調整専用のレバーなどを使って、調整アジャスターを回転させて左右のブレーキシューの間隔を広げていきます。調整アジャスターの位置は、このクルマの場合、ホイールシリンダーの真下にあります。これにラチェット機構が付いていてこれを回すことにより、調整アジャスタ自体の長さが広がって、ブレーキシューの間隔を少しずつ広げて行くという仕組みになっています。ラチェット機構なので、アジャスターは一方向にしか回転しません、反対側にはロックプレートは付いているので、元に戻すにはこのプレートをはなした状態で逆方向に回転させて下さい。すると、左右のブレーキシューの間隔は縮まります。

ドラムブレーキをかぶせてハンマーで叩く

基本的にサイドブレーキの引きしろが大きければ、調整アジャスターはブレーキシューを広げる方向に調整していきます。ある程度広げたら、ドラムをセットしてみます。ドラムが入らなければ、アジャスターを広げすぎている証拠なので、その状態から少しずつ縮めてはセットするを繰り返して、ドラムがある程度スムーズに入るまで調整アジャスターを縮めてみましょう。

 

ドラムがキレイにセットした状態で回転させ他場合、「スッスッ」と少し抵抗があるかと思います。このときハンマーでドラム本体を上から叩いたとき、「カツッ」とか「コツッ」とか少し詰まったような音がすれば、それはドラムとブレーキシューの隙間が適切な間隔であると判断していいでしょう。「カーン」とか「コーン」など抜けるような音は隙間が広いと判断できるので、再びアジャスターを3〜4コマずつ広げていってみて下さい。できることなら一番最初の状態(ドラムを外した状態)から何コマ広げて何コマ戻したのかを覚えておくと調整しやすいです。最初の内は慣れないのでメモしておいてもいいかもしれません。

適切な調整ポイント





基本的に適切なブレーキ調整のポイントは、ドラムが入らない状態までアジャスターを広げ、その後ドラムが入るか入らないかのギリギリ位置まで調整した後、アジャスタを数コマ縮めてドラムをセットしたとき、少し回転に抵抗がある状態で、ハンマーの打音が若干詰まっていてかつ、その状態が左右のドラムで2つとも同じ状態であることと、そのときのサイドブレーキの引きしろが4〜5ノッチ(カチカチ音)位であることです。このときドラムブレーキは手でスムーズに回ることを確認して下さい。極端な力でないと回らない場合やサイドブレーキレバーが固すぎる場合は引きずりの原因になります。また、サイドブレーキの引きしろも極端な力でないとノッチがかからない場合は、左腕の力の無い人にとって使いにくくなるので、お客様の要望など状況に合わせて調整アジャスターを緩めるなどして、引きやすく確実にサイドブレーキがかかるポイントを覚えていって下さい。

ドラムブレーキ自動調整の仕組みと重要性

ドラムブレーキの調整アジャスターが一方向にしか回らないようになっているのは、アジャスターをロックしているプレートを止めているスプリングがブレーキシューの摩耗具合でシューの厚みが薄くなり、ドラムとの隙間が開こうとしたときに自動的にプレートを動かしてアジャスターを回転方向に動作させてブレーキシューを開く方向に動かし、また逆回転させないように通常はロックしてブレーキシューとドラムの隙間を一定に保つ役割を果たしているからです。

例えば、車検時と次回車検の間の2年間で、サイドブレーキの引きしろが広めに変化しても、サイドブレーキが適切に効くようにできているのは、この自動調整機能がきちんと働いているためです。引きしろが広くなるのは、サイドブレーキワイヤーが若干伸びてくることと、この自動調整機能もブレーキシューの摩耗の度合いやドラムやホイールシリンダの状態が常に変化することにより、完全に機能しているとは言えないからです。だからなおさら定期的なブレーキ調整が必要になります。

ブレーキ調整は本来、ドラムブレーキを正常にくみ上げてからドラムをセットした状態で、裏側のサービスホールから調整ツール等で行う事がマニュアルに記載されています。しかしながら、今回は仕組みを知ってもらうためにドラムを何回も取り外しながらやる方法で解説させて頂きました。トラックなどのブレーキは、ドラムをかぶせたままの方法でないとブレーキ調整はできません。しかし、基本的には今回の解説と同じでアジャスターをギリギリまで開いた状態を把握して、若干戻す。という点では普通車や軽自動車と大体同じです。ブレーキの効き具合を調整するこのブレーキ調整は、自動車整備において必ずマスターしなければならない重要な要素なので、今回の記事を是非とも参考にして役立てて欲しいと思います。




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